コラムファイル

第121回
「書いてて良かった」
3月下旬は各地で、春一番と思われる暴風が吹き荒れていましたが、そのおかげで釣りを断念された方も多かったのではないでしょうか?私も何度かアジングに行こうと計画はしてみましたが、休日も仕事の後も風が強く断念してしまいました。しかし、海がシケる前後は気圧の影響からか魚の活性もよく、好釣果に恵まれることもあるため、中にはこういった状況でもなんとか竿が出せるポイントを探して釣行される方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今から6〜7年前の話になりますが、当時の私は磯からのオナガ狙いに夢中になっており、オナガが釣れたと聞けば西へ東へと追いかけていました(結局60UPは上げられませんでしたが…)。丁度その当時も、やはり3月北西風が強く当然西側では釣りが出来ません。となると、竿が出せるのは太平洋側ということで、佐多岬の東磯へ釣行しました。
今でもはっきりと覚えているのですが、その時に降りたのは「一本松」と呼ばれる広くて比較的高さもある磯でした。シケてはいましたが、高台からの釣りということもあり、あまり警戒せず際から少し下がった場所を釣り座に選択。ターゲットのオナガは釣れませんでしたが、口太がポツポツと釣れ、数匹目をクーラーに納めてふと海を見るとあきらかに今までとはおかしな波の動き。「あっ」と思った時にはもう既に遅く、辺り一面真っ白に。しかし、幸いにも流されたのはバッカンとその小道具のみ。ただ、このまま釣りを続ける勇気は私にはなく、同礁者に了解を得て速めの納竿としました。
流されたのがバッカンだけではありましたが、やはりバッカンでも大切な釣り道具の一つ。しかも新品だった為、迎えの船がくるまで、プカプカと流れる姿をずっと目で追っていました。
その日から3年後、自宅にKさんと言う知らない人から電話があり「Sさんですか?バッカンを流されませんでしたか?」と言われたのですが、あれ以来無理な釣行はしなくなったのですが、突然の大波にはどうしても対処できないこともあり、流されたバッカンの数は星の数ほど(笑)。
詳しく話を伺うと、なんでもKさんは漁師で、底引き網漁にたまたま私のバッカンが交じり、バッカンに名前と電話番号が書いてあったので、連絡してくれたそうなのです。
最近は、電話番号などの個人情報をそういった道具に書くことはしなくなったので、直ぐに「佐多岬のバッカン」だ!と気付きました。ご丁寧にKさんが宅急便で送ってくれ、2日後に手元へ来たのですが、やはり何年も前の物の為ファスナーは塩を噛み全く使い物になりませんでした。しかし、戻ってきたのも何かの縁と少し改造を加え、フタ無しバッカンとして穴が開くまで使わさせて頂きました。
昨年の3/11の震災からまる1年が過ぎましたが、釣り人にとって遊び場である海は時に人へ牙を向けることもあります。道具が流されたと、笑い話にすることも多いですが、もしもその道具が自分だったらとふと考えると背筋が凍ります。魚釣りは自然を相手にした楽しい遊びですが、もしものことがあれば、全くもって楽しいものではなくなります。磯釣りに慣れてきた今だからこそ、初心を忘れずに釣りを楽しんでいきたいと思います。
また、震災で被災された皆様に謹んでお見舞い、ご冥福をお祈りいたします。



(新人編集員S)

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